2016 ISTT No-Dig Award(New Machine部門)を受賞しました。


No-Dig Award 受賞の御礼とご挨拶


 このたび当社掘進機アンクルモールシリーズの一つである、アンクルモールシャトルが、 2016 ISTT No-Dig Award(New Machine部門)を受賞しました。
これもひとえに、日ごろの皆様のご指導ご鞭撻のおかげと深く感謝いたします。ありがとうございます。

 この No-Dig Awardとは、国際非開削技術協会:International Society of Trenchless Technology(本部ロンドン)が、 世界各国の非開削技術を選出・技術審査・投票を行い、その年の優れた技術に与えられる賞であります。

 当社は、1992年に置換式推進工法(東京都下水道局と共同開発)、1995年にはカンセンモール工法(東京ガス、JFE、川崎製鉄と共同開発)での受賞があり、 今回は当社単独の受賞で、延べ3回目の受賞となります。

 当社の推進技術が、世界からも優れた非開削技術であるとの評価を受けていることに感謝するとともに、 今後も皆様のニーズに応えるために世界最高水準の推進技術を提供できるよう、更なる技術の開発に邁進する所存でありますので、 今後ともよろしくお願いいたします。


授賞式


2016年10月11日(火)北京にて開催された2016 ISTT国際会議で、No-Dig Award授賞式が行われました。

授賞の様子 左から、Erinco Boi副会長(ISTT)、佐藤営業部長、中西社長、
Jhon Hemphill Executive Director(ISTT)、平井顧問


外部リンク


ISTT(The International Society for Trenchless Technology) OFFICIAL HP
2016 ISTT No-Dig Award Winners
Iseki Poly-Tech MBM wins new machine award




受賞工法の概要


引き戻し・再投入システム可能な泥水式掘進機 (アンクルモールシャトル掘進機)


 最近の都市部では、多種の埋設管や地中障害物のある複雑な地盤条件に設置されることが期待されています。 あるケースでは、既設の建物や既存の幹線下水に接続する場合のように、到達立坑を設置するスペースのない場所に到達することを要請される場合もあります。 また、地中には障害物が多数あり、想定外の障害に遭遇することも珍しくありません。
 本掘進機は、これらの状況を解決するために開発され、引き戻しおよび再投入を容易に行えるシステムを付与した掘進機となっています。 さらに、掘進機の周りの地盤と切羽の前面は、薬液注入により安定化し止水でき、 トンネル前面の切羽の地盤条件と確認が必要な障害物は観測用ボアホールを通してCCDカメラで確認できる機能を有しています。
図−1 泥水式アンクルモールシャトル掘進機全体


縮径可能で引き戻しおよびカッターヘッドを交換ができる掘進機


本掘進機は、到達地点から発進立坑まで引き戻すことができます。 引き戻す場合は、掘進機の外径が設置する管の外径より少し大きいので、掘進機の外径を小さくするため、 外周部のすべてのカッタービットを内側に縮径することができます。掘進機はこの機能により、掘進完了後に発進立坑まで引き戻すことができるので、 到達立坑なしで既存の建物あるいは管路に到達することができます。この掘進機は鋼管だけでなく管厚の大きなコンクリート管の場合も使用できます。 よって、掘進中に想定外の障害物に遭遇した場合、この掘進機は障害物を除去するために引き戻して同じ掘進孔に再投入を効率的に行うことができます。



図−2 左は、掘進時の標準モードで右は引き戻しおよび再配備モード。


施工手順


 本掘進機は、想定外の障害物に遭遇した時、地上からの開削で除去できないときに、推進を停止した時に、作業完了後あるいは途中で回収できます。


図−3 想定外障害物除去の場合の施工手順


切羽の直接観察


 未確認の障害物が掘進機の前進を妨害する可能性がある場合、想定外の障害物及び切羽前面の地盤を確認する必要がある場合があります。 本機では、掘削切羽の障害物の状況を、観測孔を通してCCDカメラで観測できます。


図−4 観測孔を通してCCDカメラで切羽と障害物を観察


地盤改良及び止水注入−切羽の崩壊防止


 掘進機を引き戻す場合、掘進機内から薬液注入することにより切羽前面地盤と掘進機周辺地盤の崩壊を防止することも可能です。 掘進機前方の外周回りの掘進機と地山の間隙(オーバーカット部)には、掘進機後方からの水を止め、地盤改良するために、 注入孔から薬液注入によりグラウトする。切羽前方の地盤は、カッターヘッドの注入用ボアホールから薬液注入で地盤改良することができます。


図−5 切羽前方地盤の改良と掘進機周りの止水のための薬液注入


本掘進機の用途


 本掘進機は、引き戻し、 再投入が可能であるため、次の状況での用途で使用できます。


図−6 本掘進機の用途

 都市部では施工条件が将来さらに厳しくなると想定されます。立坑用のスペースを十分とれないケースや、 想定外の地中障害物が多いケースなど難しい条件の工事が多くなり、掘進途中に引き戻し、再投入が可能で、 到達側の条件を考慮する必要がない工法の必要性が増加することが予想されます。様々な地盤条件や、想定外の地中障害物に対して、 効率的で経済的な工法を提供できる本機は、今後大いに活用されると期待します。